ツイッター運用コンサルタントの古川真理(@mfparallel)です。
前回の木村花さんの訃報に関する記事について、おかげさまで予想以上に流入数が伸びています。
また、別記事においても、「SNS 誹謗中層」、「SNS 法律」といったキーワード検索により、以前よりも格段に閲覧されています。
それだけ今回の木村花さんの事件を問題視されている方が多いといえますね。
そこで、今回の記事では、改めて問題視されている「発信者情報開示請求」について取り上げてみたいと思います。
発信者情報開示請求とは何か?
発信者情報開示請求とは、プロバイダ責任制限法の4条において定められた、SNSやインターネット上で悪質な書き込みをした発信者の情報開示をプロバイダに求めることができる制度です。
SNSやインターネット上で、名誉毀損、誹謗中傷、事実無根のデマ、プライバシー侵害、著作権侵害などの書き込みを匿名アカウントから行った個人を特定する際、発信者情報開示請求を行う必要があります。
一般的に、SNSやインターネット上の違法な書き込みにより名誉毀損や誹謗中傷を受けた場合、発信者は、被害者に対して、民法上、不法行為に基づく損害賠償責任を負うことになります。
誹謗中傷等の被害を受けた被害者は、加害者である発信者に対して、不法行為に基づく損害賠償請求をすることができます。
また、書き込み内容によっては、発信者には名誉毀損罪や業務妨害罪等の刑事上の犯罪が成立します。この場合、発信者は刑事上の責任を負うことになるのです。
発信者情報開示請求の3つの問題点とは?
とはいえ、現行のプロバイダ責任制限法における発信者開示請求について、以下の3つの問題が指摘されています。
発信者が匿名であることが多いため、プロセスが煩雑である。
現行のプロバイダ責任制限法の下では、たとえ名誉毀損等の成立要件を十分満たしていたとしても、発信者の大多数が匿名アカウントであるために、プロセスが煩雑で、発信者情報開示や削除依頼の負担は大きいものとなっております。
そのため、捜査や事件化はおろか、その発信者すら特定できずに、被害者が泣き寝入りするケースがほとんどのようです。
プロバイダに刑事責任が適用されない場合もある
プロバイダ責任制限法での「プロバイダ」には、IPS 事業者だけでなく、SNS運営者や、匿名掲示板の運営者も含まれます。
現状、匿名アカウントによる誹謗中傷、いわれのなきデマ等の悪質投稿に対して、これらのサービスの運営者たるプロバイダは、刑事責任が適用されないこともあり、十分な防止措置を講じていません。
ですので、違法性の高い投稿の削除要請があっても当日削除はされず、SNS・掲示板運営者などのプロバイダが仮に削除に応じたとしても、実際に削除されるまでには長いタイムラグがあります。
その間、被害者は機会損失をすることになり、更なる苦しみを味わうことになってしまうのです。
裁判所の仮処分が必要であるため、時間的・金銭的に多大なコストがかかる
現行のプロバイダ責任制限法の下では、誹謗中傷等を発信している匿名アカウントの「本名」「住所」等の情報開示請求には、裁判所の「仮処分」が必要となります。
そのため、発信者情報開示請求に至るまでに高いハードルがあり、誹謗中傷を受けている側の被害者に時間的・金銭的に多大なコストがかかることになるのです。
まとめ
プロバイダ責任制限法が制定されたのは2001年です。
それから20年近く経過しており、インターネットを取り巻く社会環境は大きく変化しております。
ですので、現行法ではもう対応できないレベルになってきているといえるでしょう。
そこで、総務省の高市早苗大臣は26日の記者会見で、インターネット上での誹謗中傷の被害を抑えるため、プロバイダ責任制限法に基づく発信者情報開示請求の手続きを円滑化する方向で検討に入ったと話をしていました。
だとすると、大きな進展と言えるのではないでしょうか。
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